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Vol.1 日欧のエネルギー事情

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欧州の多様なエネルギー事情

ドイツとは対照的に原子力発電を推し進めているのがフランスです。フランスは肥沃な大地が続く豊かな国で、欧州で食料を自給できる唯一の国ですが、エネルギー資源には乏しく、水力発電が可能な山岳地帯はなく、石炭や石油などの資源もありません。そのため、原子力発電を推進することで社会基盤を維持しています。発電電力量の76%が原子力によるもので、ドイツやイタリアへも電力を輸出しています。また、電力の価格もドイツやイタリアに比べ、低廉な価格となっています。

フランスに隣接するスイスは山岳地帯という条件を生かし、水力発電が主軸で、発電電力量の56%を占めています。また、原子力発電も40%と多く、水力と原子力で電力需要の大部分を賄っています。

門出 正則 氏

一方、イタリアは、チェルノブイリ原子力発電所事故の影響もあり、1990年までに原子力発電を廃止しており、天然ガスが発電電力量の51%を占め、石炭、石油を合わせると、8割弱が化石燃料で賄われています。また、電力の一部をフランスなどの隣国からの輸入に頼っているのが現状で、電力の価格もフランスと比べて5、6割高くなっています。

このように、同じ欧州にありながら、各国の事情により、国ごとにエネルギー政策はさまざまです。しかし、いずれも陸続きであり、電力の融通がきくという地域的な特徴があります。欧州では国際間取引が大きく、EU(欧州連合)の結成で、エネルギー面でもまとまりやすくなっています。

電気料金の国際比較

 
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