講師コラム「エネルギーの明日」

エネルギー・環境問題の専門家に、毎回、様々な角度からエネルギーの視野を広げるお話を伺います。

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Vol.3 環境問題とエネルギー

一般財団法人九州環境管理協会 副理事長
松岡 信明 氏

大気汚染や地球温暖化など、環境問題は現代社会における大きな課題のひとつです。また最近では、国境を超えて環境問題が広がりを見せるケースも多く、環境問題への取り組みは急務といえるでしょう。実は、エネルギーと環境問題には密接な関係があります。環境問題に詳しく、講演会等で講師としても活躍する九州環境管理協会の松岡信明氏にお話を伺いました。

松岡信明氏

人類とともに発生した環境問題

環境問題は産業が発達してから発生したように思われがちですが、実は人類が誕生したときから環境問題は存在しています。原始人は火を発見し、エネルギーとして使い始めましたが、火を燃やすことは少なからず環境に影響を与えます。その後も文明の発達とともにエネルギー消費が増え、さまざまな環境問題が派生してきました。ローマ文明が衰退した原因のひとつとして、水道管や食器などに使われていた鉛による汚染だと言う説もあったほどです。また日本の貝塚も、考え方によってはゴミ処理の問題といえます。

私たちがよく知るのは産業革命以降の環境汚染です。この時代から汚染の質が変わるのですが、その理由は化石燃料がエネルギーとして使われるようになったからです。ロンドンではスモッグが問題となり、酸性雨(アシッドレイン)という言葉もすでに19世紀の文献に書き残されています。

このように文明と環境問題は切り離せない関係にあります。20世紀の環境問題は、いわゆる公害と呼ばれるものでした。水や土壌、大気などが汚染されることによって引き起こされるものですが、21世紀はさらに広域的な地球環境が問題になっています。ローカルな地域での取り組みでは解決できないことも多く、人類全体で対処していく必要があるのです。

人類とエネルギー・環境・人口問題のかかわり

 
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