九州エネルギー問題懇話会トップページ講師コラム「エネルギーの明日」Vol.4 エネルギー問題にも賢い消費者目線を(2/3)

 
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Vol.4 エネルギー問題にも賢い消費者目線を

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時代とともにエネルギー状況も変化

エネルギー問題は時代とともに変化してきました。高度経済成長の時代は安定供給が何より重要な課題だったため、供給量を増やすことが先決でしたが、オイルショック以降(1973年)は使用するエネルギー資源の中身について考える時代になりました。エネルギー源を石油だけに頼ったり、輸入を中東だけに頼ることの危険性から、天然ガスや原子力など多様なエネルギー源が活用されるようになりました。

京都議定書の採択(1997年)以降は環境問題に、よりスポットが当てられるようになり、各国で温室効果ガスの削減に努力するようになりました。よく原子力発電と再生可能エネルギーが対比されますが、当時はともに重要な電源として温室効果ガスの削減目標を達成するという位置づけだったはずです。どちらも日本にとって必要なエネルギーなのです。

エネルギーの状況は変化しても、決して変わらないことがあります。それは日本の地理的状況です。日本は島国であり、エネルギー資源に乏しい国です。そのことを踏まえた上で、より長期的な視点、全体を俯瞰した視点で考える必要があります。世界には一つとして同じ状況の国はありません。エネルギー問題についても日本における最善の方法を議論すべきだと思います。

日本の一次エネルギー供給実績

主要国のエネルギー輸入依存度

エネルギー問題は難しい問題か?

東日本大震災以降、多くの人がエネルギー問題に興味を持つようになりました。そのこと自体は良いことで、一般消費者にエネルギーについて考えてもらう良い機会だと思います。けれども多くの人が不安や恐怖心を持つだけで終わっている場合も少なくないようです。また情報の入口も限られていることが多く、メディアなどの一方的な情報を受け取るだけになっています。

石窪奈穂美氏

エネルギー問題も、モノの見方や考え方は他の消費者問題と変わりありません。例えば商品を販売する場合、企業は商品を売りたいためにメリットを強調した情報を提供しがちです。けれども物事には必ずメリットとデメリットがあり、メリットだけということはありません。誰が何のために出している情報なのか冷静に考え、批判的に読み解く力が消費者には必要なのです。

また、自分で情報を得る努力も必要です。企業などが設置している商品相談センターは苦情を寄せるだけでなく、商品や使い方についての質問をしてもいいのです。エネルギーを含めた消費者問題では、一つのメディアや同じような情報だけを信じるのではなく、さまざまな視点から学び、自分で判断する姿勢が重要です。

 
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