九州エネルギー問題懇話会トップページ講師コラム「エネルギーの明日」Vol.4 エネルギー問題にも賢い消費者目線を(3/3)

 
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Vol.4 エネルギー問題にも賢い消費者目線を

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賢い消費者になるためには

インターネットが発達した現代社会は情報があふれ過ぎていて、公平で正しい情報を見つけることが難しくなっています。そのため「売れ筋なら間違いないだろう」とランキングに頼ったり、単純に声が大きい方になびいたりします。情報に対してもっとセンシティブになり、同じ出所の情報ばかりを信用しないことです。

また自分の目で実際に見て、感じることも重要です。身近に見学できるエネルギー関連の施設があれば、ぜひ積極的に足を運んでみてください。現場を見て、そこにいる人たちに話を聞けば、新聞やテレビ、ネットなどでは知ることのできない情報にふれることができますので、必ず得るものがあるはずです。

さらにリスクに対しても不安に思うばかりでなく、どの程度のリスクなら許容できるのか、お互いが歩み寄って話し合うことが大切です。特に一般消費者と専門家の考えるリスクにはズレがあり、そこを埋めるリスクコミュニケーションが必要とされます。物事にはメリットとデメリットがあることを理解し、感情的にならず、冷静に聞く耳を持って考えるべきです。

日本における良質な電力供給

日本はエネルギー源の90%以上を外国からの輸入に頼り、エネルギー自給率は高くありません。それにも関わらず安定した電力の供給を実現しています。いつでも、どこでもすぐに電気がつき、世界を見渡しても停電が非常に少ない国です。病院などには生命維持のために電気が必要な人もいて、停電になると命の危険にさらされます。電気は暮らしの中をぐるぐると回っている血流のようなもので、これが止まってしまうと生活に大きな影響が出ます。

こうした良質な電力供給の背景には、どんな努力や活動があるのか考えてみるべきでしょう。私たちは自分にとって都合のいい情報だけでなく、ものごとの両面をきちんと見る必要があります。その上で自分の行動がどう影響するのか考えるべきです。

現代社会ではさまざまな課題のバランスをとる必要があり、消費者の個人的な私益だけでは社会を維持していけません。お互いを思いやるパートナーシップ(共益)、地域や国、社会の利益を考えるシチズンシップ(公益)、さらには地球規模での環境を考えるグローバルシチズンシップ(地球市民益)といった視点が必要です。とりわけエネルギー問題は国レベル、あるいは地球レベルの大きな問題です。視野を広げたバランス感覚を身につけてほしいと思います。

 
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