九州エネルギー問題懇話会トップページ講師コラム「エネルギーの明日」Vol.12 医療における放射線利用の重要性(3/4)

 
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Vol.12 医療における放射線利用の重要性

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適切に管理されている医療関連の被ばく量

放射線については被ばくを心配する人もいるでしょう。人体が放射線にさらされるケースとして、「自然被ばく」「医療被ばく」「職業被ばく」の3種類があります。日常生活の中で自然界に存在する放射線を浴びるのが「自然被ばく」で、地域によって違いはありますが、太古から人類は常に浴びているものなので人体に影響はありません。病気の診断や治療で放射線を浴びるのが「医療被ばく」、放射線業務に従事する者が影響を受けるのが「職業被ばく」です。

一般の人が最も心配するのは「医療被ばく」だと思いますが、医療機関では被ばく量は適切に管理されており、放射線を利用した医療機器を使ったとしても、基本的に健康被害が出るような被ばく量ではありません。また放射線診療に従事する医療関係者は、定期的な教育・訓練などを受けた、十分な放射線の知識を有する者が従事しており、医療被ばくによる健康被害が起きないように、患者への対応を行っています。

自然・人工放射線からの被ばく線量

放射線の人体への健康影響

放射線による人体への健康影響については、人体が受けた放射線の量が密接に関係してきます。広島・長崎の原爆被ばく者の調査結果などから、放射線による被ばく量が100ミリシーベルトを超えたあたりから、被ばく量が増えるに従って、がんになる確率が増えることが知られていますが、100ミリシーベルト以下ではたばこや食事など他の生活習慣を原因とするがんの発生確率と比べ、放射線による影響は遙かに小さいと考えられています。

ここで気をつけなければいけない点は、一般的に分裂の盛んな細胞は放射線の感受性が高いということです。そのため大人より子どもの方が放射線の影響を受けやすくなり、子どもや妊娠中の女性の被ばく限度は一般より厳しく設定されています。同様の理由で造血を行うリンパ組織や骨髄、生殖器官である精巣や卵巣なども放射線の感受性が高く、他の臓器や組織より注意が必要です。

放射線と生活習慣によってがんになるリスク

 
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