九州エネルギー問題懇話会トップページ講師コラム「エネルギーの明日」Vol.18 原子力発電と核燃料サイクルの意義(2/4)

 
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Vol.18 原子力発電と核燃料サイクルの意義

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核燃料サイクルの意義

核燃料サイクルを行う意義のひとつはリサイクル、つまり資源の有効利用にあります。原子力発電の使用済燃料には、まだ燃料に使えるウランやプルトニウムが95〜97%も含まれています。使用済燃料を再処理してこれらを回収し、MOX燃料(混合酸化物燃料)として加工して、再び原子力発電に使うのです。使用済燃料はすでに日本が持っているエネルギー資源であり、再処理して有効利用することは、エネルギー自給率の低い日本にとって将来のエネルギー安全保障の観点でとても重要です。

再処理をすれば、放射性廃棄物の量も減らすことができます。再処理をせずにそのまま処分する場合に比べて、廃棄物の体積は約4分の1になります。放射性廃棄物の最終処分場をつくるにしても、国土の狭い日本において廃棄物の量を少なくすることは重要です。また、再処理することで、放射性廃棄物の有害度が十分に下がるまでの期間を再処理しない場合の約12分の1に短縮することができます。

現在、各地の原子力発電所で発生した使用済燃料は発電所の敷地内などで貯蔵されていますが、その量は日本全体で約1万9000トンになります。これは国内で貯蔵可能な容量の約79%に相当しており、国と事業者は貯蔵能力の拡大に取り組んでいるところです。こうした使用済燃料をまだ利用できる「資源」と考えるのか、処分すべき「ゴミ」と考えるのかには大きな違いがあり、たいへん重要な視点だと思います。

核燃料サイクルの3つのメリット

 
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