九州エネルギー問題懇話会トップページ講師コラム「エネルギーの明日」Vol.18 原子力発電と核燃料サイクルの意義(3/4)

 
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Vol.18 原子力発電と核燃料サイクルの意義

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核燃料サイクルの現状と課題

核燃料サイクルを推進していくためには、いくつかの課題があります。ひとつは国内の再処理工場がまだ完成していない点です。日本はこれまでイギリスとフランスに再処理を依頼していましたが、今後は国内で再処理する方針です。青森県六ヶ所村に再処理工場の建設が進んでおり、すでに試験運転なども行われていましたが、福島第一原子力発電所事故を踏まえた新規制基準への対応などにより中断し、竣工遅延が続いてきました。2020年7月に新規制基準に適合していると国の許可を受け、2022年の竣工に向けて準備が進められています。六ヶ所再処理工場がフル稼働すれば最大年間800トンの使用済燃料を処理できる見通しで、早期の稼働が望まれます。

もうひとつ、原子力発電所の再稼働の問題もあります。再処理で回収したプルトニウムなどを現在の原子力発電所(軽水炉)で使用することをプルサーマルといいますが、現在国内で稼働しているプルサーマル炉は4基だけです。日本は2030年度までに少なくとも12基の原子炉でプルサーマル実施を目指していますが、そのためにはまず新規制基準に適合した原子力発電所の再稼働が必要です。

日本は核不拡散の観点から、利用目的のないプルトニウムは持たないことを原則としています。六ヶ所再処理工場では発電に利用する分だけ再処理を行うことになっていますし、海外で再処理して保有しているプルトニウムを着実に利用していくためにも、プルサーマルの導入拡大と計画的な実施が必要です。なお、将来的にはプルトニウムの利用効率などを更に高める高速炉の実用化も考えられています。

原子燃料サイクル施設の位置

 
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