九州エネルギー問題懇話会トップページ講師コラム「エネルギーの明日」Vol.19 脱炭素化に貢献する原子力発電の未来(2/4)

 
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Vol.19 脱炭素化に貢献する原子力発電の未来

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日本の原子力発電所のこれから

現在の豊かな生活を維持しながらカーボンニュートラルを実現するためには、発電時にCO2を出さず、安定して発電できる原子力発電の活用が不可欠です。しかし、日本の原子力発電は厳しい状況にあります。国による安全審査の長期化などで再稼働が進まないことに加え、将来的には原子力発電の設備容量が大幅に減少する見通しだからです。

第6次エネルギー基本計画で示されたエネルギーミックスでは、2030年の電源構成における原子力の割合を20%程度としており、そのためには3000万kW規模の発電能力が必要になります。当然ながら、2030年以降も同程度の発電規模が必要でしょう。ところが、国内の原子力発電所36基が運転開始から60年運転すると仮定しても、2040年代以降は設備容量が大幅に減少すると予想されています。2035年以降も原子力の割合を維持するためには、2000万kW程度の導入が必要なのです。

この問題を解決するには、100万kW規模の原子力発電所を新増設していく必要があり、建設にかかるリードタイムを考えると、できるだけ早期に取り組むべきだと思います。

また、原子力発電所の運転期間についても考える必要があります。現在、運転期間は原則40年で、1回に限り最大20年延長できることになっています。この40年という数字にはあまり技術的な根拠がなく、設備更新を適切に行えば運転期間を延長しても安全に運転することは可能です。既に関西電力の美浜3号機が40年を超えて運転していますし、海外でも40年以上運転している原子力発電所が多くあります。国内外の実績などを踏まえ、運転期間の制限も見直していくべきではないでしょうか。

国内原子力発電所の将来の設備容量の見通し

 
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