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Vol.20 医療分野における放射線利用

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正確な知識を持って適切な行動をしよう

放射線に関しては、怖いイメージが先行して、その特性を正しく知ろうとしない人が多いように思います。けれども正しい知識がなければ適切な行動ができません。例えば、放射線防護の3原則は、@時間(放射線に曝されている時間を極力短くすること)、A遮へい(遮へい物を設置すること)、B距離(距離を離すこと)です。これを認識していれば、仮に放射線に関するトラブル等が発生しても適切に行動することができます。福島第一原子力発電所の事故の後、私たち教育者はそれまで放射線教育をきちんと行ってこなかったことを反省し、各種講義に放射線に関する項目を取り入れるようにしました。

正しい知識に基づき、適切な行動をとることが重要であることは、放射線に限らず、新型コロナウイルスや原子力発電などに対しても共通する姿勢だと思います。

「怖い」というイメージにとらわれるばかりではなく、対象を正しく理解した上で、活用する際のメリット・デメリットを考え、可能であればリスクコントロールを行いながら、上手に活用するべきです。対象を正しく理解することで、適切な対応策の選択について、自身で能動的、積極的に考察できるようになると思います。

昨今、インターネットが普及し、ネット上に様々な情報があふれ、誰もが簡単に大量の情報に触れることができます。しかしながら、その情報には正確なものから不正確なものや偏向されているものまで交じり合った状態です。だからこそ情報を鵜呑みにするのではなく、一度立ち止まって考えることが大切です。与えられた情報や教えられた知識を表層的に理解するのではなく、疑問を持ち、その原因、背景等も含めて自分で検証してください。この考え方や姿勢は医療の世界のみならず、今後、みなさんが社会で活動していく上で必要なことだと思います。私自身、医学を志す学生たちを育成指導する立場の者として、彼らにこのことをしっかりと伝えていきたいと考えています。

岡田誠治氏
 
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