情報誌「TOMIC(とおみっく)」

58号 2018年10月発行(4/4)

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TOMIC第58号 電気の品質と再生可能エネルギー〜再生可能エネルギーで電気が不安定になる!?〜

電気の品質安定のために考えるべきこと

永田真幸氏

すでに全国に広がっている交流を前提とした電力システムを変えることはできません。現在の電力システムで電圧や周波数を安定的に保っていくためには、火力発電などを活用していく必要があります。つまり、再エネだけがあれば電力システムが運用できるわけではないのです。エネルギー自給率の向上やCO2削減のためには再エネの導入を進める必要がありますが、電気の品質を安定的に保つにはそれ以外の電源も必要です。それぞれの電源の特性を生かしたエネルギーミックスは、経済的な観点から語られることが多いようですが、電気の品質を保つうえでも重要な考え方です。

再エネについても現状では解決すべき課題がたくさんあり、万能のエネルギーというわけではありません。世界的に導入価格が下がっているとはいえ、まだコストのかかる効率の悪い電源で、天候にも大きく左右される不安定な電源です。それぞれのエネルギーのプラス・マイナスの両面をきちんと議論して、抑制すべき場面では抑制するように変えていくべきです。

今後は、例えば電気の消費量が少なく気候が良い春や秋で、工場が休みになる週末などに再エネにも出力抑制が及ぶと思いますが、電気の品質安定、ブラックアウトの回避のために協力していただくべき事項だと思います。再エネかどうかに関わらず、今後は電力システム全体でトータルに課題を考えるべき段階にきていると思います。再エネなどの発電事業者も発電だけでなく、その先の送電なども含めた全体にも理解と責任を持つべきです。そうした共通認識を電気事業全体でつくっていく必要があります。

 
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