情報誌「TOMIC(とおみっく)」

62号 2020年8月発行(4/4)

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TOMIC62号 ゼロエミッションを先導する九州の可能性を考える〜九州からの未来提言と5つの戦略〜

With/Afterコロナ時代の本提言の位置づけ

@With/Afterコロナはチャンス

今年は新型コロナ問題が発生し、世界中が深刻な影響を受けています。よくリーマンショックと比較されますが、リーマンショックでは世の中の資金が蒸発しても、日々の生活そのものが変わってしまうことはありませんでした。消えてしまったお金をもう一度世の中に循環させれば、生活は元に戻ったのです。

けれども今回は、これまで当たり前に送っていた毎日が当たり前ではなくなりました。人の移動・接触が制限されることによるテレワークやWeb会議など業務のデジタル化の進展、観光業や飲食業などのサービスのあり方の変容など社会やシステムが大きく変わっています。また、世界中に広がったサプライチェーンが機能せず、生産拠点の国内回帰も叫ばれるようになっています。このように、新型コロナ問題は、世界中が変革を強く求められるきっかけになりました。

このような厳しい経済状況の下でも、主要企業の多くは中長期の投資や研究開発費をむしろ増やしています。新しい社会への変革要請にビジネスチャンスを見出しているのです。

今回の新型コロナ問題は、ピンチではありますが、新しいイノベーションを起こし、これまでにないビジネスチャンスをつかむきっかけでもあるのです。今後はさまざまな分野でイノベーションが進んでいくことでしょう。遠隔対応に慣れると、東京などの3大都市圏でなくても、生活環境に恵まれた九州で同じように仕事ができます。

一方で、新型コロナ問題が発生した後も、地球環境問題は本質的に変わっていません。世界中で移動が減ったためにCO2排出量が少し減っていますが、根本的な問題解決にはなっていません。地球温暖化は新型コロナの時代であっても未解決のままで、2030年、2050年へ向けて地球規模で課題に立ち向かっていく必要があります。

こう考えると、With/Afterコロナは、ある意味九州にとって絶好のチャンスともいえるのではないでしょうか。今まで述べてきたように、社会変革が強く求められる一方で地球環境問題の本質は何ら変わっていないなか、九州は、エネルギー・環境面では他地域にくらべ優位にあり、しかも九州のDNAが脈々と息づいているとすれば、本提言を推進・実現していくうえでむしろよい条件が揃ったともいえます。

「With/After コロナ時代」のエネルギーと大学への貢献

Aさらなる提言の充実に向けて

提言が公表された今年3月は、ちょうど新型コロナ問題と重なり、十分な情報発信ができませんでした。けれども本提言はWith/Afterコロナの時代でも価値が変わらないものと考えます。今後は本提言の内容を国内外へ向けて発信し、九州における継続的な取り組みとして課題解決のPDCAを回し、具体的な施策・方策につなげていく必要があります。

さらに、新型コロナは期せずしてさまざまな課題もあぶり出すことになりました。新型コロナ問題の中で各企業が直面した課題を抽出し、議論を重ねながら、今後の国内・国際情勢に即した提言にアップデートしていく必要もあるでしょう。

本提言の推進・実現に、ぜひ、みなさんのご協力・ご支援をお願いいたします。

エネルギーに関する課題解決のPDCAが回る仕組みづくり

 
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