九州エネルギー問題懇話会トップページ情報誌「TOMIC(とおみっく)」TOMIC63号(3/5)
63号 2021年1月発行(3/5)
現在のエネルギー政策は、「安定供給(Energy Security)」「経済効率性(Economic Efficiency)」「環境適合性(Environment)」の3つのEに、「安全性(Safety)」のSを加えた「S+3E」を基本方針としています。
今後もこの基本方針に変更はありませんが、ポストコロナの時代には、新たに「脱炭素化(Decarbonization)」「分散化(Decentralization)」「デジタル化(Digitalization)」の頭文字をとった「3D」が進展していくと考えられています。(図4参照)
もともと「3D」の考え方は、新型コロナ以前からあるものでしたが、どちらかといえば再生可能エネルギー(以下、再エネ)の分野に限られていました。地球温暖化問題解決の主役と期待されている太陽光や風力などの再エネは、エネルギー密度が低く、各地に分散し、天候などの自然条件に左右されやすいため、効率良くマネジメントするには、デジタル技術が不可欠というわけです。
こうしたなか「3D」は、新型コロナによって、エネルギー・環境のみならず社会全体に及ぶ動きになろうとしています。リモートワークの進展や、3密を避ける生活スタイルの定着などで、これまでのように通勤する必要がなくなり、住まいを地方に移して2拠点生活を送るような人が増えれば、ライフスタイルそのものが、密集から分散を前提としたものに変化し、デジタル技術の活用がますます重要になります。
こうした「新しい暮らし方・働き方」が広がっていけば、当然ながらエネルギー需給構造もその影響を受けることになります。例えば、どちらかいえば災害対応等が主眼だった自立分散型のエネルギー需給システムは、新たなライフスタイルにも適応したシステムに変容していくのではないでしょうか。
ポストコロナの時代へ向けて、今後も「3D」の流れは加速していくと思われます。