九州エネルギー問題懇話会トップページ情報誌「TOMIC(とおみっく)」TOMIC65号(4/4)
65号 2022年3月発行(4/4)
石炭火力発電をはじめ化石燃料に対しては世間の厳しい目が向けられていますが、それと並行して現在の生活に必要な電力を安定的・経済的にどのように賄うのかということについてはあまり注目されていません。もちろん、火力発電の比率を下げていく今後の方向性については理解していますが、電力の供給安定性や経済性とのバランスを維持しながら、脱炭素社会への移行を実現する技術の一つとして、低・脱炭素化火力発電やCCS・CCUSの有効活用も不可欠ではないでしょうか。
2021年に公表された基本計画では、エネルギーミックスにおける火力発電の割合が以前よりもかなり引き下げられましたが、当社はむしろこれを好機ととらえ、前向きに取り組んでいきたいと考えています。例えば、CO2排出量が多い石油化学・製紙・鉄鋼・セメントなどの産業分野では化石燃料使用の自家発電用ボイラーを利用していますが、これらをすぐに再エネ等の脱炭素電源に切り替えることは容易ではありません。既存インフラを生かしつつ、ご紹介したような最新技術を使ったソリューションを提供することで、エネルギーの脱炭素化と電力の安定供給を実現し、着実な脱炭素社会への移行に貢献できると考えています。
世界の国や地域は、産業構造、経済の習熟度、環境への影響、既存インフラなどの事情がそれぞれ異なります。サステナブルなエネルギーインフラを実現するためには、各国・地域の特性に適したソリューションが必要で、低・脱炭素技術を備えた火力発電も、それを支える大切なエネルギー源の一つです。カーボンニュートラル社会を実現するために、各国・地域のニーズに寄り添いながら最新技術を活かしていきたいと考えています。