特集「どうする?これからの日本のエネルギー」(2015年改訂版)

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はじめに

日本は、エネルギーなどの資源を輸入し、それをもとに製品を作り出し、輸出することで成り立っている貿易立国です。従って、資源を如何に安定的に、かつ、低廉な価格で調達できるかが、日本にとって極めて重要な課題です。

昨今のエネルギー情勢を見てみますと、ここ数年間、100ドル/バーレル前後で推移していた原油価格が2014年の夏以降、急落し、現在では60ドル/バーレル前後となっています。原油価格の値下がりは、石油関連製品だけではなく、LNG価格などにも連動することから、エネルギーのほとんどを輸入に頼る日本にとって大きなメリットとなります。

この状況は当面続くものと予想されますが、今後も中国やインドなどの新興国でのエネルギー需要の増加は避けられない状況にあります。将来、エネルギー需要を賄えなくなれば、再び、需給が逼迫し、価格が高騰することも予想されます。

一方、国内に目を転じますと、原子力発電の再稼働が遅々として進まず、電力の供給面で不安定な状況が続いています。また、不足する電力を賄うため、値段が下がったとは言え、石油やLNGなどの輸入負担は大きく、北海道や関西では、電気料金の再値上げが行われるなど、経済活動や暮らしに大きな影響を及ぼす状況となっています。

こうした状況の中、現在、政府では、2014年4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」をもとに、将来の日本のエネルギー需要の見通しや電源別の構成比率などの検討を進めています。

エネルギー政策の検討にあたっては、国民一人ひとりが、エネルギーの供給の安定性、経済への影響、環境への影響など様々な視点からエネルギー問題を捉え、冷静に議論することが大切です。また、エネルギー政策は、現在、数年後、10年後など時間軸に沿って、エネルギーバランスを考える必要があります。

こうした状況を踏まえ、本書では、日本を取り巻くエネルギー情勢や各エネルギーの特性などについて紹介してまいります。皆さまがエネルギー問題を考える上での、一助となればと考えております。

宇宙から見た夜景の衛星写真

 
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