特集「どうする?これからの日本のエネルギー」

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日本のエネルギー事情

左:人々がトイレットペーパーを買い求める姿 右:ガソリンスタンドの休日の営業中止 国別エネルギー自給率(2010年)

日本は、エネルギー資源が極めて乏しく、原子力を除けば、その自給率は6%で先進国の中でも最も低い水準となっています。このため、ほとんどのエネルギーを輸入に頼らざるを得ません。

過去、日本は2度の石油危機(オイルショック)を経験しました。最初が1973年で、同年10月に第4次中東戦争が勃発し、アラブ諸国が石油の生産を減らしたため、3ヶ月足らずの間に石油の値段が4倍に跳ね上がりました。石油の供給逼迫と価格高騰により、先進各国は不況とインフレの同時進行で大きな打撃を受けました。特に、日本は石油の一次エネルギーに占める割合が8割近くになっていたため、影響は極めて大きく、石油や電力の使用制限が行われる一方で、石油関連製品の買占めなどによる物不足の発生や狂乱物価とも呼ばれる1年に20%を超える急激な物価上昇が起きるなど大混乱に陥りました。

2度目は、1979年のイランの政変に端を発するもので、石油の供給量が低下し、原油価格が更に2.5倍に上昇、世界経済は再び大きな打撃を受けました。

この経験を踏まえ、日本は一つのエネルギーに頼ることの危うさを知り、以降、官民一体となって、原子力や天然ガスの導入など石油に代わるエネルギーの確保や省エネに努めるようになりました。この結果、一次エネルギーに占める石油の割合は、2010年時点で40%まで低下しています。特に、電力は石油以外のエネルギーからでも電気を作ることができるため、石油依存からの脱却が進み、2010年で発電電力量に占める割合は8%となっています。こうした取り組みにより、オイルショック以降、原油価格が一時140ドル/バーレルを越えることもありましたが、日本国内で大きな混乱が起こることはありませんでした。

一次エネルギー国内供給の推移

ネオンサインの自粛

しかし、2011年3月の東日本大震災に伴い発生した東京電力福島第一発電所の事故の影響により、国内の原子力発電所が順次停止し、2013年度には、原子力による発電電力量は1%までに低下しました。これを補うため、石油や天然ガスなどの火力が大幅に増加し、火力の発電電力量に占める割合は88%まで上昇しています。震災以降、地域によっては、夏場の需要期などに電力不足が懸念されることから、節電要請が行われるなどの対策も取られました。

よくマスコミなどで、原子力がなくても供給支障もなく、電力は足りているではないかという声が聞かれますが、これは、長期休止中の老朽化火力発電所の立ち上げ、発電所の補修工事の延期、自家発事業者等からの買電、更には、産業用需要者の使用電力の抑制協力などにより、乗り切ったのが現状であり、現在の電力の供給体制は、発電の予備力も低く、一部の発電所でトラブルなどが発生すれば供給支障を招く恐れもあり、不安定な状況にあります。

また、原子力発電停止の長期化により、火力発電による焚き増し用の燃料費が増加し、電気料金の値上げが行われるなど国民の生活にも影響がでてきています。

電源別発電電力構成比

日本の形状収支・貿易収支・鉱物性燃料輸入額の推移

 
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