特集「どうする?これからの日本のエネルギー」

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各エネルギーの特性 3石炭 Coal

日本の用途別石炭消費量
日本の石炭輸入先(2011年)

石炭は、石油のような一地域への偏在がなく、幅広く世界に賦存しており、埋蔵量は他の化石エネルギーと比べても豊富にあります。

国内でも、過去には多くの石炭が産出されていましたが、資源の枯渇や石油の普及、海外の石炭との価格差の拡大などにより、次々と炭鉱は閉山し、国内に残るのは、北海道の釧路炭鉱1箇所のみとなっています。この結果、国内での生産量は極めて少なく、他のエネルギーと同様、消費量のほとんどを輸入に頼っています。

日本の石炭の調達先は、オーストラリアが最も多く、輸入量全体の6割を占めています。次いでインドネシア、ロシアなどの順となっています。

日本の石炭の消費は年々伸び続けており、1965年に7千万トンであったものが、2012年には1億7千万トンまで増加しています。業種別の消費では、電力が7千万トンで最も多く、次いで鉄鋼の6千万トンとなっており、この2つの業種で全消費の8割を占めています。

一方、世界の石炭消費を見てみますと、中国の消費量が急激に増加しており、年間消費量は37億トンに達し、世界の全消費量の48%を占めています。中国では、一次エネルギーに占める石炭の割合が7割に達しており、こうしたことが、最近問題となっているPM2.5などの大気汚染の要因にも繋がっているものと考えられます。

石炭の最大のメリットは価格です。石油やLNGなどの他の化石エネルギーと比較して低廉で、経済的な優位性を有しています。また、石炭価格は、石油のような世界的な価格指標はなく、契約毎の個別の価格交渉によって決定されますので、石油の価格などが直接影響することはありません。

石炭が抱える問題は、他の化石エネルギーと比較して、二酸化炭素の排出量が多く、地球温暖化への影響が懸念される点にあります。

なお、石炭には、硫黄、窒素酸化物やばいじんなどの問題もありますが、それらを除去する日本の技術は、世界トップレベルにあり、日本国内で中国のような大気汚染を招くことはありません。

世界の石炭消費量の推移 排煙脱硫装置

 
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