特集「どうする?これからの日本のエネルギー」

  • PDF

各エネルギーの特性 7新エネルギー Alternative energy

太陽光や風力発電など再生可能エネルギーは、自然をエネルギーとするため、二酸化炭素や硫黄酸化物などの排出もなく、極めて環境に優しいエネルギーです。

既存電源の発電コストと再生可能エネルギー買取価格との比較 電気料金の国際比較 電気料金の国際比較

中でも太陽光発電は、家庭でも取り付けが容易なこともあり、2012年の再生可能エネルギーの買取制度の導入以降、大幅に増加してきています。しかしながら、現段階では、再生可能エネルギーはベース電源には成り得ないのが現状です。その理由は、我々が必要とする時に必要なだけの電気を作り出せないからです。太陽光発電は、日中太陽が出ていなければ発電できませんし、風力は風任せです。今日は雨だから、工場を休むというわけにはいきません。

よくマスコミなどで、太陽光発電などの再生可能エネルギーに関する説明で、原子力発電所何基分に相当するといった記載が見受けられますが、これは設備容量で実際の稼働率が考慮されていない場合がほとんどです。太陽光発電で稼働率は12%程度(原子力同80%)と言われていますので、設備規模が同規模でも、発電量で比較すると、太陽光発電は原子力発電所の6分の1程度に留まります。

また、再生可能エネルギーは、コストの問題があります。再生可能エネルギーの買取制度における買取価格は、段階的に引き下げられてはいますが、既存の電源(原子力、LNG、石炭)の2〜5倍になっています。この買取費用は、電気の使用量に応じ、国民が負担することとなっていますが、負担金額は年々増加しており、国民1人当たりの年間の負担額は2014年で5,000円、2015年からは10,000円となっています。新エネの先進国と言われているドイツでも、再生可能エネルギーの買取制度により、ここ10年ほどで家庭の電気代は約2倍になっており、国民の負担を抑えるため、太陽光発電などの電力の買取価格を下げる方向にあります。

震災以降、再生可能エネルギーに対する期待が高まっていますが、再生可能エネルギーの開発に当たっては、コストや供給の不安定性の問題は避けて通れません。国民としてどの程度の負担であれば許容できるのか、また、発電できない場合の代替手段をどうするのかといった議論も必要となります。

水素エネルギーについても、同様のことが言えます。水素自体はクリーンで究極のエネルギーです。しかし、残念ながら水素は自然に単体では存在しません。水素は電気と同じで2次エネルギーなのです。水素を利用するにあたっては、まず水素をどのような方法で取り出すのかを考えておかなければなりません。

 
ページの先頭へ戻る