特集「どうする?これからの日本のエネルギー」

  • PDF

今後の日本のエネルギー政策の進め方について

日本を取り巻くエネルギー情勢や各エネルギーの特性などについてお話ししてきましたが、世界的にエネルギー需要が拡大していく中で、資源を持たない日本が今後どのような形でエネルギーを確保していくのかを考えていく必要があります。

ドイツは自国に豊富な石炭資源を持っていますし、米国も天然ガスや石油などのエネルギー資源が豊富にあります。しかし、日本は、核となるエネルギー資源を持っていません。本書でも、各エネルギーについて紹介してきましたが、いずれも一長一短があります。このため、資源を持たない日本はあらゆるエネルギー源を組み合わせながら、乗り切って行くしか方法はないと考えられています。

また、エネルギー問題を考える上で、時間軸も重要となります。

「日本のエネルギー事情」の項で石油依存の低減の話をしましたが、石油依存を8割から4割に半減させるために、40年近くの歳月がかかっています。例えば、大型の発電所を新たに作る場合、建設だけでも数年かかりますし、事前の適地選定、地元との調整、発電所や送電線の用地取得など建設に至るまでに、極めて長い時間を要します。また、建設費用も数千億円規模で多額の投資が必要となります。このため、国全体や地域ごとに10年先、20年先の電力需要を予測しながら、早い段階で供給電源を準備していく必要があります。

エネルギーの問題は、我々の生活に直結する重要な問題です。国民一人ひとりが、真剣に今後の日本のエネルギーのあり方を考えていく必要があります。

本書を通じ、みなさまに、日本のエネルギー問題についてお考えいただければ幸いです。

各エネルギー源の位置付け「エネルギー基本計画」

  位置付け 電源構成比(経産省案)
※2015年5月時点
石油 運輸・民生部門を支える資源・原料として重要な役割を果たす一方、ピーク電源としても一定の機能を担う、今後とも活用していく重要なエネルギー源。 3% 火力計
56%
天然ガス ミドル電源の中心的役割を担う、今後役割を拡大する重要なエネルギー源。 27%
石炭 安定性・経済性に優れた重要なベースロード電源として再評価されており、環境負荷を低減しつつ活用していくエネルギー源。 26%
原子力 低炭素の準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源。 20%〜22%
再生可能
エネルギー
温室効果ガス排出のない有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源。3年間、導入を最大限加速。その後も積極的に推進。 22%〜24%
 
ページの先頭へ戻る