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Vol.9 環境分析とエネルギー

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日本が誇るべき素晴らしい科学技術

私は大学の理学部化学科で学び、分析化学の道に入りました。意外に思われるかもしれませんが、もともとは歴史好きで、どちらかというと文系の素養があったと思います。化学の道に進んだのは、理系の科目で唯一できたのが化学であること、また先輩からの「化学ならどんな方向にも進める」というアドバイスからでした。実際に化学の分野は非常に幅広く、生活の中で何らかの分析をする分析化学をはじめ、物質の構造や性質を調べる物理化学、医薬品などの開発に役立つ生物化学など多岐にわたっています。

私は「目に見えないものが分かる」ことが面白くて分析化学を専攻しましたが、この分野も時代とともに技術が進歩しています。さらに、日本では有害物質の処理技術もたいへん発達しています。一時期、工場や自動車などから出るNOx(ノックス=窒素酸化物)、SOx(ソックス=硫黄酸化物)が問題となりましたが、現在の技術では、それらはほとんど排出されません。他の有害物質についても排出による影響はほぼゼロに近く、従来のような環境汚染は見かけなくなり、私たちの生活は快適なものになってきています。

エネルギーに関わる地球温暖化の問題

従来の様な環境汚染は、先進国では技術の進展に伴い概ね対処できていますが、それに代わり近年は地球環境問題が大きな課題になっています。この地球環境問題については、実はエネルギー問題が大きく関係しています。

地球温暖化を引き起こす大きな要因がCO2の排出ですが、国内で排出されるCO2の4割が火力発電などの電力由来やエネルギー転換によるものだといわれています。

地球温暖化は現代に生きる私たちには差し迫った問題に感じられないかもしれません。けれども問題を放置すれば、100年後、200年後の地球の姿は確実に変わります。私たちの子孫にそうした地球を残してもいいのでしょうか。

 
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