九州エネルギー問題懇話会トップページ講師コラム「エネルギーの明日」Vol.11 原子力の歩みとエネルギー(4/4)
資源の少ない島国の日本では、自由に使えるエネルギー源を確保することは大変重要です。そのため日本では今後も原子力発電を使っていかざるを得ないと考えています。
太陽光発電などの再生可能エネルギーは、燃料の心配がない便利なエネルギー源ですが、これで大都市の電力をまかなうには技術的にも、経済的にも無理があります。例えば山間や離島などで、自然のエネルギーを活用して地産地消を行うことはあるかもしれません。
しかしながら本来、再生可能エネルギーは自然を大切にするためにあるはずです。電力を供給するために山肌を削って、太陽光パネルを設置するような動きには違和感があります。自然は人間のためだけのものではありません。動物、植物、昆虫といったすべての生命のためのものです。
日本のエネルギー問題の解決のためには、今後もあらゆる分野の研究が必要です。太陽光や風力のさらなる活用には蓄電池の実用化が不可欠ですし、日本近海に大量にあるとされるメタンハイドレートについても研究を進めていくべきです。1973年に起こったオイルショックがそうであったように、エネルギー危機は自国とはまったく関係のない原因で起こることがあります。その対策のためには、少しでも可能性のある研究開発は続けていき、将来のエネルギー危機へ備えるべきだと思います。
個人的には、できれば高温ガス炉の利用が進むといいと考えています。水素の製造など電力以外の分野への応用が期待できる、とても優れた方法であることを広く知ってもらいたいと思います。