九州エネルギー問題懇話会トップページ講師コラム「エネルギーの明日」Vol.6 医療技術に活用される放射線の可能性(2/4)

 
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Vol.6 医療技術に活用される放射線の可能性

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放射線よりも怖い?生活習慣によるリスク

日常生活の中で放射線を受けても普通に暮らしていけるのは、生物が放射線への防護機能を持っているからです。放射線の特性は分子をイオン化すること。分かりやすくいうと分子を壊してしまうのですが、一方で人間には壊れた分子を修復する機能が太古の昔からDNAの中に受け継がれています。毎日起こっている細胞の破壊を免疫力や抵抗力でカバーしているのです。年齢とともにガンの発生が増えるのは、免疫力などの防護機能が衰えてくるからです。

放射線はガンを引き起こす要素のひとつではありますが、通常の生活ではそれほど恐れる要因ではありません。むしろタバコや肥満、食生活や運動不足などの生活習慣の方が、ずっとガンになるリスクが高いのです。統計によると生活習慣によるガンは、放射線によるガンの10〜20倍発生しています(図4)

自然界で発生する以上の放射線を受けた場合、どこまでの影響があるかという点については、ICRP(国際放射線防護委員会)が過去のデータをもとに報告を出しています(図5)。一度に受ける放射線量は100ミリシーベルト以下であれば身体的影響はないと報告されています。ただし、同じ放射線を受けても人によって感受性が違います。細胞の再生能力が高いほど感受性が強く、子どもは大人の5倍程度の感受性があるといわれるので、よく認識しておく必要があります。

放射線と生活習慣によってがんになる相対リスク

日常生活と放射線

 
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