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Vol.1 日欧のエネルギー事情

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(「ドイツにおけるエネルギー政策の今」の続き)

再生可能エネルギーに力を入れているドイツですが、再生可能エネルギーの発電電力量に占める割合は、水力を除くと、15%程度に留まっています。この要因としては、再生可能エネルギーの稼働率の低さにあります。太陽光発電は、日中の天気が良い時にしか発電できませんし、風力は風が吹かなければ発電はできません。よくマスコミなどで、太陽光発電などの再生可能エネルギーに関する説明で、原子力発電所何機分に相当するといった記載が見受けられますが、これは稼働率が考慮されていない場合がほとんどです。仮に100万kW規模の原子力発電所と同規模の太陽光発電所が年間に作り出す電気の量は、原子力発電の年間発電電力量は稼働率が80%程度ですので約70億kWh、これに対し、太陽光発電は、日中の天気の良い時にしか発電できませんので、稼働率は15%程度で、年間発電電力量は約13億kWhと原子力発電の5分の1程度に留まります。

再生可能エネルギーの普及を進めるには、コストが掛かります。既に、再生可能エネルギーの普及によるドイツ国民の負担も限界に来ており、年々、太陽光発電などの電力の固定買取価格を下げる方向にあります。これまで、ドイツは、世界をリードする形で、再生可能エネルギーの普及を進めてきましたが、今後、原子力発電の代替電源をどのように賄っていくのか、代替として、化石燃料を増やすことは、地球温暖化対策に逆行することから、今後のエネルギー政策の舵取りが注目されます。

主要国の電源別発電量の構成比

太陽光・風力発電の出力変動

 
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