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Vol.15 電気エネルギーの可能性

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より安全で経済性の高い次世代型原子炉

既存の原子力発電所は、いずれ運転を停止する時期を迎えます。将来にわたって原子力を活用するためには、発電所の新・増設も必要になります。この際に、より安全で経済性の高い原子力技術を取り入れていくことは重要で、そのための研究開発も欠かせません。

いま日本で稼働中の原子炉である軽水炉の安全性を高めていくことはとても重要です。一方で、次世代型原子炉の技術開発も進んでいます。安全性に優れ初期投資も抑えられる小型モジュール炉(SMR)、ウランの資源量が限られる中で核燃料をリサイクルして使うことができる高速炉、高温の熱を取り出し水素の製造などにも活用できる高温ガス炉などが代表的です。SMRは海外で複数の開発プロジェクトが進んでいます。高速炉は日本では原型炉「もんじゅ」の廃炉が決まりましたが、日本原子力研究開発機構(JAEA)がフランスと協力して研究開発を継続しています。また、世界では、ロシア、中国を中心に開発が進んでいます。高温ガス炉はJAEAで開発が進められています。原子力発電は初期投資が大きく費用回収に長期間を要することが課題のひとつですが、小型炉はシンプルなシステムで初期投資が抑えられ、工期も短く、安全性の向上も図られており、日本にも導入される可能性があります。

原子力の安全には幅広い意味を含んでおり、福島第一原子力発電所のような事故を起こさないこと(過酷事故の発生防止)に加えて、事故を起こしたときに拡大させないこと(過酷事故の影響緩和)も重要です。事故を起こさないよう最大限努力しても、事故が起こってしまうリスクはあります。万一の場合に、影響を可能な限り小さくする技術の研究も重要です。

次世代原子炉の特徴

 
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