情報誌「TOMIC(とおみっく)」

68号 2023年9月発行(3/5)

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TOMIC第68号 高レベル放射性廃棄物の最終処分を考える〜次の世代に負の遺産を残さないために〜

最終処分地選定の目安となる「科学的特性マップ」

地層処分で重要となるのが最終処分地の選定です。処分地を選定する場合、その場所が地層処分に適しているかどうかを見極めるためには、火山活動、地震・断層活動、隆起・浸食といった自然現象の影響、地下深部の地盤の強度や地温の状況など、様々な科学的特性を総合的に検討する必要があります。国は、地層処分に関係する地域の科学的特性を、既存の全国データに基づき一定の要件・基準に従って客観的に整理し、全国地図の形で示した「科学的特性マップ」を2017年に公表しました。

「科学的特性マップ」では、火山活動の可能性がある場所、地震・断層活動がある場所、著しい隆起・侵食が認められる場所、地熱が高く酸性度の高い地下水が出る場所などは、地下の長期安定性等の観点から地層処分の安全性に影響を及ぼす恐れがあり、好ましくない場所としてオレンジで示されています。また、地下に石油、石炭、ガスなどの鉱物資源の存在が認められる場所は、将来的に人間が掘り起こす可能性があるため、将来の掘削可能性の観点から好ましくない場所としてグレーで示されています。

これ以外は「好ましい特性が認められる」、「可能性が相対的に高い」場所としてグリーンで示されています。とりわけ沿岸から20q程度を目安とした範囲は、輸送面でも好ましい場所として濃いグリーンとなっています。

「科学的特性マップ」は、あくまでも既存の全国データを基に処分地に適している、適していないを地図上に示したものです。処分地の選定にあたっては、この後お話しする各プロセスを踏んだ調査が必要です。

科学的特性マップ(九州エリア)

 
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