九州エネルギー問題懇話会トップページ情報誌「TOMIC(とおみっく)」TOMIC68号(5/5)
68号 2023年9月発行(5/5)
最終処分の問題はどこか遠い国の話ではありません。高レベル放射性廃棄物はいわば電気のごみで、自分たちが使って出したごみなのです。快適な現代生活を享受しながら、コンセントの向こう側については無関心というわけにはいきません。次の世代に負の問題を残さないよう、ぜひ我がこととして考えてもらいたいと思います。
処分地選定の調査には20年程度かかり、その後の施設の建設にはさらに時間がかかります。一方で、六ヶ所村での保管期限が迫っており、残された時間がだんだんと少なくなっています。我々の世代で解決すべき問題だと考えます。
地層処分を行うことは世界共通の考え方であり、フィンランドでは処分場の建設が始まり、スウェーデンやフランスは処分地を選定しました。中国やスイスなどでも調査が進んでいます。対して日本では、ここ20年ほど選定作業がほとんど進んでいないのが現状です。国を挙げた取組の強化が求められています。
処分場の危険性はゼロとは言いませんが、日常生活で事故に遭う可能性よりは遥かに低いと考えられます。放射能というだけで遠ざけるのではなく、正しい知識を身につけて、リスクを正確に判断してほしいと思います。
(取材日:2023年7月21日)