九州エネルギー問題懇話会トップページ情報誌「TOMIC(とおみっく)」TOMIC69号(4/5)
69号 2024年2月発行(4/5)
中東で起こっているイスラエルとハマスの紛争は、イランやサウジアラビアなどの産油国に飛び火すると問題ですが、現在のところエネルギーの面ではさほど影響はないと考えます。またウクライナ問題による天然ガスのひっ迫は、あと数年耐えられれば解決に向かう可能性があります。アメリカやカタールなどでは天然ガスへの投資が急激に増加しているので、2〜3年後には大量のLNGが生産できるはずです。
日本にとって今後大き なリスクになると考えられるのが中国です。中国が主権を主張する東シナ海や南シナ海は、日本へエネルギー資源を運ぶタンカーの通り道でもあります。また中国の国内市場は巨大なので、中国がどのように資源を使うかによって、世界のエネルギー市場も大きな影響を受けます。
さらに、クリティカルミネラル(重要鉱物)やグリーンテクノロジーの分野でも中国の存在は大きくなっています。太陽光・風力・蓄電池・EVといったクリーン技術の製造能力は中国が際立っていますし、クリーン技術に欠かせないレアアースなどの重要鉱物も中国が多くを生産しています。脱炭素社会を目指す動きは、あらゆる側面で中国に依存しているといえるでしょう。
オイルショックで経験したように、特定国への資源の依存は大きなリスクとなるため、今後は多様化を進めることはいうまでもなく、日本国内での製造能力向上のほか、アメリカ、オーストラリア、韓国などの友好国と協働してものづくりを行うことも手段のひとつとなります。