情報誌「TOMIC(とおみっく)」

69号 2024年2月発行(5/5)

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TOMIC第68号 高レベル放射性廃棄物の最終処分を考える〜次の世代に負の遺産を残さないために〜

アジアを巻き込んだGXの推進を

GX(グリーントランスフォーメーション)については、多くの企業が取り組むべき課題であり、今後の方向性としては正しいと思います。けれども、これから先はあらゆる国で同じ動きが起こり、世界全体での競争になります。その中で日本が沈まないためには工夫が必要です。今の日本は1970〜80年代のような活気ある経済状況ではないため、全方位で頑張ることはできません。日本なりの強みや得意なことを活かしていくことが大切です。分野としては工作機械や自動車などの得意産業があり、製品としては複雑性の高いもの、例えば半導体であれば汎用品ではなく特殊用途品を強化すべきでしょう。

後カーボンに値段がつくようになると、カーボンの排出が少ない方が製品価格が安くなります。価格競争力を保つためにも、脱炭素化はなるべく早く実現することが理想です。そのためにはアジア全体を巻き込んだGXの推進が必要です。日本企業の多くは東南アジアなどに製造拠点を置いており、こうした地域の脱炭素化が実現しなければ真の意味での脱炭素化とはいえません。発展途上にあるアジア諸国の脱炭素化は難しい課題ですが、将来のために必ず実現していかなければならない課題です。

(取材日:2023年12月20日)

九州大学名誉教授 東北大学金属材料研究所特任教授 出光一哉

 
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