九州エネルギー問題懇話会トップページ特集「どうする?地球温暖化」(8/13)3.温暖化への対応
日本でも地球温暖化へのさまざまな適応表は活発です。
国の対応はもちろん、さまざまな地域や自治体で、先進的な取り組みが行われています。
鶏は汗腺を持たず、全身を羽毛に覆われているため、夏の暑さに非常に弱い動物です。暑さによるストレスで産卵率が落ちたり、卵の質が悪くなったり、最悪の場合は死んでしまうこともあります。
和歌山県畜産試験場養鶏研究所では、抗酸化効果を期待出来る県内特産品の未利用産物(梅酢、山椒種子)や米油精製副産物を飼料に添加、給与することで暑熱による鶏の体内ストレスを緩和し、夏場の生産性や卵質を改善させる技術の開発に取り組みました。抗酸化素材は、暑熱時の生産性や卵質低下を明確に改善するものではありませんでしたが、鶏の体内環境を整え、健康状態や産卵機能を維持するものとして活用できることがわかりました。
全国有数の農業算出額を誇る山形県では、温暖化を先取りした戦略的な研究開発を進めています。そのひとつが暖地型作物の導入です。もともと山形県では冷涼な気候を生かしたリンゴやサクランボなどの農作物が栽培されていますが、数十年後には暖地で栽培されている柑橘類の栽培が可能になると予想されています。
そこでスダチ、カボス、ユズ、温州ミカンなど8種類の柑橘類を露地栽培する実証実験を行いました。越冬のために不織布などで樹木を覆うことで、順調に生育できることが確認されました。特にスダチの実の品質は良く樹体も大きく育ってきていることから、安定的な栽培、保管、販売ルートの開拓と「適応」から「活用」へ、新たな特産品づくりに前進しています。
日本の主食であるコメも近年の温暖化で収穫量や品質に影響を受けています。コメは登熟期(夏に舗が出て籾の中にコメができた後に、コメにデンプンが蓄積する時期)に気温が高くなると品質が低下し、見た目や味が悪い白未熟粒(写真参照)が発生します。特に九州地方を中心に一等米比率が低下することが予測されています。このような高温障害に適応する策として、「にこまる」など高温耐性品種への転換や、登熟期の高温障害を避けるため、作期の遅い品種への転換を行うなどの対策が進められています。また、田植え後の高温対策としては、生育診断による肥料の管理、水の管理、土づくりなどの栽培技術を組み合わせて対応にあたっています。