- 私たちの体は、数十兆個の細胞が集まってつくられています。細胞の中には細胞核があり、その中にDNA(デオキシリボ核酸)があります。ほとんどの細胞は、細胞分裂によって新しく生まれ変わりますが、このとき、元どおりの働きをするための情報を新しい細胞に伝えるのがDNAの役目です。
- DNAは、タバコや酒、食事、化学物質、放射線などによって傷つけられていますが、細胞のもつ能力で治されています。これをDNA修復といいます。一つの細胞で1日に1万個以上のDNAの傷ができて、それを修復することがくり返されていると考えられています。
- DNAに傷がついたとしても、正しく修復が行われれば、体への障害や子孫への影響は現れません。DNAの傷が正しく修復できなかったときに、影響が起こることがあります。
- がんの発生に至るまでには、遺伝子の傷が完全に修復されないまま細胞が生き続け、何段階にもわたる変異が重なることなどによって細胞のがん化が起きます。ある確率でがんが発生し、受けた放射線量が多いほどがんが発生する確率が高くなります。
- 1放射線の影響によりDNAの鎖が1本または2本切断されます。
- 2鎖が切断されても、DNAの傷が修復します。
- 3切断されたところに、他のDNAがまぎれこんだり、誤った箇所でつながってしまい、修復ミスが起こることがあります。
- 4修復ミスが起こった場合、変異細胞が生まれて治らないと、がんになることがあります。
- 5細胞が死ぬことによってその臓器が働かなくなるのは、放射線の量が一定の量以上になると起こります(「確定的影響(組織反応)」)。(上のグラフ)
- 6変異細胞が増えてがんになる割合は、放射線の量に比例して増えると考えられています(「確率的影響」)。(下のグラフ)
出典:国立がん研究センター資料より作成
原子力文化財団HP:「原子力総合パンフレット2022」を基に作成
https://www.jaero.or.jp/sogo/detail/cat-03-04.html