特集「『放射線』ってなに?」

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8付録

8-2目に見えない現象に挑んできた科学者たち
X線照射による突然変異の発見

ハーマン・マラー (アメリカ、1890年〜1967年)

1927年にX線によって突然変異が誘導できること(人為突然変異)を発見し、遺伝子が物質からできていることの証拠となり、その後の分子生物学の誕生にも影響を与えた。
1946年ノーベル生理学・医学賞(X線照射による突然変異体発生の発見)を受賞。

プルトニウムや超ウラン元素の発見

グレン・シーボーグ (アメリカ、1912年〜1999年)
エドウィン・マクミラン (アメリカ、1907年〜1991年)

マクミランは1936年C-14を発見、1940年ネプツニウムを発見。その後、シーボーグとの共同研究で、プルトニウムを発見。1945年シンクロサイクロトロンの原理を発表した。
共に1951年ノーベル化学賞(超ウラン諸元素の発見)を受賞。

原子核変換

ジョン・コッククロフト (イギリス、1897年〜1967年)
アーネスト・ウォルトン (アイルランド、1903年〜1995年)

1932年直流高電圧により加速した陽子をリチウムの原子核に衝突させて、原子核を壊すことに成功し、核変換を初めて実現した。
共に1951年ノーベル物理学賞(原子核変換についての先駆的研究)を受賞。

炭素年代法の確立

ウィラード・リビー (アメリカ、1908年〜1980年)

天然に存在する炭素14の半減期を精密に測定し、新しい年代測定法を確立した。この方法は考古学における年代決定に大きな進歩をもたらした。
1960年のノーベル化学賞(放射性炭素による年代決定法)を受賞。

X線断層撮影法の開発

アラン・コーマック (南アフリカ出身、アメリカ、1924年〜1998年)
ゴッドフリー・ハウンズフィールド (イギリス、1919年〜2004年)

コーマックは1963年〜1964年にX線の組織吸収分布の数学的解析法を確立し、X線CTの理論的基礎を与え、1972年ハウンズフィールドはX線CTスキャナーとして具体化した。
共に1979年ノーベル生理学・医学賞(コンピュータを用いたX線断層撮影法の開発)を受賞。

電子顕微鏡の開発

エルンスト・ルスカ (ドイツ、1906年〜1988年)
マックス・クノール (ドイツ、1897年〜1969年)

2人は1931年に光(波)の代わりに電子線(波)を用いた電子顕微鏡を開発した。
クノールが没してから17年後、最初の開発から55年後の1986年に、ルスカはノーベル物理学賞(電子顕微鏡に関する基礎研究と開発)を受賞。

リチャード・ヘンダーソン (イギリス、1945年〜)
ヨアヒム・フランク (ドイツ出身、アメリカ、1940年〜)
ジヤック・デュボシェ (スイス、1942年〜)

ヘンダーソンは、電子顕微鏡を使って生体分子を原子の大きさで3次元画像撮影することに初めて成功。フランクは、2次元画像から鮮明な3次元画像を再現する方法などを考案。デュボシェは、試料が入った溶液を急速に冷却することにより、タンパク質などの生体分子試料の立体画像を正確かつ鮮明に観察できる手法を考案した。3人の研究により、生体の分子を本来の自然な状態で電子顕微鏡観察ができるようになった。
共に2017年ノーベル化学賞(低温(クライオ)電子顕微鏡法の開発)を受賞。

 
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