特集「『放射線』ってなに?」

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8付録

8-2目に見えない現象に挑んできた科学者たち
最初の放射線「X線」の発見

ヴィルヘルム・レントゲン (ドイツ、1845〜1923)

1895年真空放電管を使った実験をしている時、黒い紙で管を覆っていても蛍光板が光ることを発見した。 光らせたのは、真空放電管の中から見えない光が出ているためと考え、これを不思議な線という意味でエックス線と名付けた。これが放射線研究のはじまり。
1901年第1回ノーベル物理学賞(X線の発見)を受賞。

天然のウラン鉱石から放射線を発見

アンリ・ベクレル (フランス、1852〜1908)

1896年ウラン塩の蛍光を研究中に、ウランが放出した放射線が写真乾板を露光させることを発見し、物質が自然に放射線を発する能力(放射能)を持つことが初めて確認された。放射能の大きさを表す単位の「ベクレル」は、1秒間に放射性物質が壊れる数を表し、この人の名前からとったもの。
1903年ノーベル物理学賞(放射能の発見)を受賞。

放射性物質の発見

マリー・キュリー (ポーランド出身、フランス、1867〜1934)
ピエール・キュリー (フランス、1859〜1906)

ウラン以外の放射性物質の研究を行い、1898年に新しい放射性の元素ポロニウム、続いてラジウムを発見した。ラジウムは病気の治療や時計の夜光塗料などにも利用された。
1903年に夫妻でノーベル物理学賞(放射の研究)を受賞。

電子の発見

ジョゼフ・ジョン・トムソン (イギリス、1856〜1940)

かつて物質の最小構成要素である原子はそれ以上分割できないと信じられていたが、1897年陰極線の特性を調べる過程で、陰極線の正体が負電荷を持つ未知の粒子であることを示し、この粒子が後に「電子」と呼ばれるようになった。
1906年ノーベル物理学賞(気体の電気伝導に関する研究)を受賞。

α線、β線の発見

アーネスト・ラザフォード (ニュージーランド出身、イギリス、1871〜1937)

1898年ウランからα線とβ線の2種類の放射線が生じていることを発見し、翌年にはα線とβ線の分離に成功した。1908年α線がヘリウム原子核であることを発見した。また、1919年アルファ粒子を窒素ガスに打ち込むと、水素の原子核固有の反応が検出されたことにより、水素の原子核は窒素に含まれていると推測し陽子を発見した。原子核の発見や放射性元素に関する研究・貢献から「原子物理学の父」とも呼ばれている。
1908年ノーベル化学賞(元素の崩壊および放射性物質の化学に関する研究)を受賞。

X線回折による物質構造の研究

マックス・フォン・ラウエ (ドイツ、1879年〜1960年)

X線を結晶に当ててラウエ斑点(回析干渉)の写真を撮り、X線が電磁波であることを示し、X線結晶学、X線分光学への道を開いた。
1914年ノーベル物理学賞(結晶によるX線の回析の発見)。

ヘンリー・ブラッグ (イギリス、1862年〜1942年)
ローレンス・ブラッグ (オーストラリア出身、イギリス、1890年〜1971年)

X線回析による結晶構造解析を研究する方法を確立した。この過程でX線分光器を考案。
1915年親子でノーベル物理学賞(X線を用いた結晶構造の研究)を受賞。

 
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