九州エネルギー問題懇話会トップページ特集「放射線」ってなに?(20/24)7. 放射線はどんなところで利用されているの?

 

特集「『放射線』ってなに?」

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7放射線はどんなところで利用されているの?

7-4工業分野での放射線の利用
新しい材料

現代の工業製品には、化学繊維類や合成樹脂などの高分子化合物が天然・人工を問わず多く用いられています。高分子化合物(ゴムやプラスチックなど)の成型加工において、放射線を当てると分子間の結合がより強固になり、力学的特性や耐熱性を向上させることができます。例えば、強度を高めた自動車のタイヤなどが開発されています。

厚さ計

物質に放射線を照射した時の透過作用を利用した厚さ計が用いられています。これは、食品包装用のラッピングフィルムや紙、アルミはくなど厚さを均一に保たなければならないような工業製品の工程管理において、厚さを正確に測定するために利用されています。

非破壊検査

材料内部の欠陥や表面の微小な傷などを、物品(材料、機器、建造物など)を分解しないで調べる検査方法を非破壊検査といいます。機器や構造物あるいは金属の溶接部分、また、金銅仏や重要な美術工芸品などの細かい傷やひび割れその他内部の欠陥状況を知るため、エックス(X)線やガンマ(γ)線を使って検査することが広く行われています(病院のエックス線撮影と同じ原理)。その他、空港での手荷物検査でも使われています。

文部科学書HP:「放射線等に関する副読本掲載データ、中学校生徒用、高等学校生徒用」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1314159.htm
https://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1314239.htm
神鋼検査サービス(株)HP:「非破壊検査 放射線透過試験(RT)」
https://www.sisco.kobelco.com/act/nondestructiveness/rt.html

7-5先端技術分野での放射線の利用
粒子線治療

放射線治療では、メスを使わず、臓器の機能や身体の形を保ったまま治療を行うことができます。特に重粒子線治療では、がんの位置や大きさ、形状に合わせ、がん病巣に重粒子線を集中的に当てて、がん細胞を消滅させます。正常な臓器への影響をより少なくすることができる最先端治療として注目されています。

重粒子線がん治療照射室
大強度陽子加速器施設(J-PARC)

茨城県にある大強度陽子加速器施設J-PARCは、陽子を利用した加速器施設で、加速された陽子を原子核に衝突させて発生した中性子やミュー粒子(ミューオン)、ニュートリノなどの粒子を使って、素粒子物理や物質科学などの最先端の研究を行う施設です。

J-PARC
大型放射光施設SPring-8

兵庫県にある大型放射光施設SPring-8は、「放射光」と呼ばれる強力な電磁波を発生させて利用することにより、物質構造や化学反応の時間的変化などを原子・分子という超微細なレベルで調べることができる研究施設です。ナノテクノロジーをはじめとした材料科学、さらには生命科学や医学などといった幅広い研究分野に利用されています。

SPring-8

文部科学書HP:「放射線等に関する副読本掲載データ、中学校生徒用、高等学校生徒用」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1314159.htm
https://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1314239.htm

 
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