特集「『放射線』ってなに?」

PDF

8付録

8-2目に見えない現象に挑んできた科学者たち
γ線の発見

ポール・ヴィラール (フランス、1860〜1934)

1900年 ウランから放出される放射線を研究している時に、X線に似て透過力が高く、電荷を持たない未知の放射線を発見した。ラザフォードがヴィラールの放射線はそれまでに名付けられていた放射線とは根本的に異なるものであると認知し、1903年 アルファ線とベータ線からの類推でヴィラールの放射線を「ガンマ線」と名付けた。

原子核崩壊の研究

フレデリック・ソディ (イギリス、1877年〜1956年)

放射性元素の研究で、アルファ壊変(崩壊)・ベータ壊変(崩壊)などを見出した。同位元素(アイソトープ)の命名者でもある。
1921年ノーベル化学賞(放射性物質の研究、同位体の起源と性質の研究)を受賞。

霧箱の発明

チャールズ・ウィルソン (イギリス、1869年〜1959年)

1895年から人工的に雲を発生させる実験を重ね、その実験装置はイオンを可視化する装置として改良され、Cloud Chamber(霧箱)と名付けられた。1911年にはX線やα線などの放射線の飛跡を可視化し、写真撮影することに成功した。霧箱はその後多くの研究者によって初期の原子物理学の研究、特に宇宙線の研究に大いに役立てられた。
1927年ノーベル物理学賞(ウイルソン霧箱の発明及び期待電離の研究)を受賞。

中性子の発見

ジェームズ・チャドウィック (イギリス、1891年〜1974年)

1932年透過力の強い放射線をいろいろな物質に衝突させると陽子がはじき出されることを確認し、この放射線が陽子とほぼ同じ質量をもつが電荷をもたない中性の粒子「中性子」であることを実証した。1920年代を通して原子は陽子と電子から構成されていると考えられていたが、原子の構造をうまく説明できない矛盾点を抱えていた。中性子の発見により、その矛盾が解決された。
1935年ノーベル物理学賞(中性子の発見)を受賞。

放射性同位元素の作出

ジャン・フレデリック・ジョリオ=キュリー (フランス、1900年〜1958年)
イレーヌ・ジョリオ=キュリー キュリー夫妻の長女(フランス、1897年〜1956年)

アルミニウムへアルファ線を照射することによって世界初の人工放射性同位元素であるリン30(P30)の合成に成功した。
1935年に夫婦でノーベル化学賞(新種の放射性同位元素の作出)を受賞した。

核分裂の発見

オットー・ハーン (ドイツ、1879〜1968)
リーゼ・マイトナー (オーストリア、1878〜1968)

1938年 ハーンは、ウラン原子に中性子を吸収させたときに、核は大きくならず、より小さい原子(バリウム)に分裂することを発見した(核分裂の発見)。マイトナーは「核分裂」の概念の確立者で、この現象を「核分裂」によるものと解釈・命名した。
ハーンは1944年ノーベル化学賞(原子核分裂の発見)を受賞。

 
ページの先頭へ戻る