特集「どうする?これからの日本のエネルギー」

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世界のエネルギー情勢

昨今の原油価格の急落は、世界経済にとってプラスであり、エネルギー資源のほとんどを輸入している日本にとっては大きなメリットとなります。しかし、これまでも原油価格は高騰と下落を繰り返してきました。

世界のエネルギー消費量の推移(地域別、一次エネルギー) 国別一次エネルギー消費量(2013年)

当面は、この状態が続くものと予想されますが、世界のエネルギー消費(一次エネルギー)を見てみますと、経済の成長とともに増加を続けており、消費量は1965年の38億トン(原油換算)から、2012年には125億トンにまで増加、約50年間で3倍になっています。特に、最近は経済発展が進む中国やインドなどのアジア大洋州地域での消費が急増しており、この地域だけで10年間に22億トン、約8割増加しています。

既に、中国は2010年に米国を抜き、世界最大のエネルギー消費国となっていますが、今後も、中国などでは経済成長が続くことから、エネルギー消費の増加は避けられない状況にあり、資源の獲得競争が世界的に激化することが予想されます。

一方、世界のエネルギー供給の中心地である中東地域は、地政学的なリスクをはらんでいます。イスラム過激派組織「イスラム国」の勢力拡大、シリアの内戦、イランの核開発、イスラエルとパレスチナとの対立など、枚挙にいとまがありません。

これらの問題は、民族、宗教、政治など様々な要素が複雑に絡み合っており、解決は容易ではありません。もし、この地域で何か突発的な出来事が起これば、世界のエネルギー情勢にも大きく影を落とします。とりわけ、資源を持たず、中東地域に石油の8割を依存する日本は、深刻な影響は免れません。

ドバイ原油価格と為替レートの推移

石油などのエネルギーは、製品を作るときや原料を採掘するときにも使われますし、物を輸送するときなどにも使われます。このため、エネルギー価格の上昇は、製品や原材料、更には農産物などの価格も押し上げることとなり、我々の生活に大きな影響を及ぼします。

 
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