九州エネルギー問題懇話会トップページ特集「放射線」ってなに?(7/24)3. 放射線・放射能・放射性物質とは?

 

特集「『放射線』ってなに?」

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3放射線・放射能・放射性物質とは?

3-5放射能は時間とともに減っていく
(物理学的)半減期
  • 放射性物質は放射線を放出しながら、時間の経過ととも に放射線を放出しない安定した物質になっていきます。したがって、放射性物質はだんだん放射能が減っていきます。
  • 放射能が半分になる時間を「(物理学的)半減期」といいます。
  • たとえば、ヨウ素131は半減期が約8日なので、放射能は 約8日で最初の放射能の半分に、約16日で1/4に、約24日 で1/8に減少します。
放射性物質と半減期
原子の種類 半減期
人工の
放射性物質
ヨウ素131(ウランの核分裂で生まれる核分裂生成物) 約8日
コバルト60(原子炉の鋼材などに中性子が当たって生まれる腐食生成物) 約5年
セシウム137(ウランの核分裂で生まれる核分裂生成物) 約30年
プルトニウム239(ウランが中性子を吸収して生まれる超ウラン元素) 約24,000年
自然界に
存在する
放射性物質
ラドン222 約4日
ラジウム226 1,600年
カリウム40 約13億年
ウラン238 約45億年

電気事業連合会HP:「放射線Q&A」を基に作成
https://www.fepc.or.jp/library/pamphlet/pdf/05_housyasen_qa.pdf

生物学的半減期と実効半減期
  • 呼吸や飲食などで体内に取り込まれたRIは、体の代謝や排泄によって体外に排出されます。体に取り込んだ量が排出によって半分に減るまでにかかる時間を「生物学的半減期」といいます。
  • 生物学的半減期は、RIの化学的な性質や、体内に取り込んだ人の年齢など、生理的な要因によって異なります。
  • 「物理学的半減期」や「生物学的半減期」などにより、体内にあるRIが半分に減るまでにかかる時間を「実効半減期」といいます。
●原発事故由来の放射性物質の半減期
H-3トリチウム Sr-90ストロンチウム
90
I-131ヨウ素131 Cs-134セシウム134 Cs-137セシウム137 Pu-239プルトニウム
239

出す放射線の
種類

β β β, γ β, γ β, γ α, γ

生物学的
半減期

10日*1
*2
50年*3 80日*2 70日〜
100日*4
70日〜
100日*3
肝臓:20年*5

物理学的
半減期

12.3年 29年 8日 2.1年 30年 24,000年

実効半減期生物学的半減期と
物理学的半減期から計算

10日 18年 7日 64日〜
88日
70日〜
99日
20年

蓄積する
器官・臓器

全身 甲状腺 全身 全身 肝臓、骨

実効半減期は、生物学的半減期の表中に記載した蓄積する器官・組織の数値から計算。
*1:トリチウム水、*2:ICRP Publication 78、*3:JAEA技術解説,2011年11月、*4:セシウム137と同じと仮定、
*5:ICRP Publication 48

環境省HP:「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和4年度版)」を基に作成
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r4kisoshiryo/r4kiso-02-02-04.html

Column原子力発電所で生まれる放射性物質
  • 原子力発電所では、燃料の濃縮ウラン(ウラン235:3〜5%、ウラン238:95〜97%)に中性子を当てると、核分裂が起こります。
  • そのとき、ヨウ素131、セシウム137、ストロンチウム90などの放射性の核分裂生成物が作られます。また、ウラン238に中性子が当たると、プルトニウム239が作られます。
  • 核分裂生成物が壊変したり、中性子を捕獲して発生する放射性物質もあります。
  • 通常は、これらの生成物は燃料棒の中にとどまり、原子炉から外へは漏れ出しません。
  • 原子力施設には放射性物質を外に出さないようにする様々な仕組みがありますが、それらがすべて機能しなくなると、放射性物質が漏れ出すことになります。

環境省HP:「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和4年度版)」を基に作成
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r4kisoshiryo/r4kiso-02-02-03.html

 
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